「……おっも!」 例え本人の意識があったとしても、躊躇無くそう言ってのけていただろう。 自分で立つ力を失っているを、腕に中途半端にぶらさげたままルークが呻いた。 「…コラコラ。仮にもは女性なんだからさ。もうちょっと相手の気持ちを考えて、だな。特に年頃の女性なんかは…」 ゴットン 「…うぅっ…」 言うが早いか、鈍い音が響いた。 苦笑いを浮かべたガイの嗜めの言葉も、途中でくぐもった呻き声に遮られる。 耳に入り込んできた不自然な音に嫌な予感を覚えて、笑みに細めた目をしっかりと開けると。 片方の手を腰にあて汗を拭うような仕草をして、大儀を果たしたかのように振舞う主人がいる。 その足元に落ちた時の形そのまま、奇妙な体勢で床に沈んでいるの姿があった。 今、足元から伝わってきた振動と音は、結構ドスのきいた重いものだったような。 「ああっ!?お、おいルーク、お前それ…」 「ぁあ?何だよ、いきなり気ィ失う方が悪いんだろ?いつまでもくっついてんのキメェしよー」 いくら気安くなってきたからって遠慮が、いや、容赦が無さすぎじゃなかろうかと、ガイの背中を冷や汗が伝う。 「だ、だからって落とすなよ!多分今、頭打ったんじゃないか?」 ドサリ、だったならまだしも、ゴトン、って音が。明らかに頭からダイブしたような音が。 慌てて駆け寄っての様子を窺うが、何か全体的に彩度が低い上に、意識も覚醒とは程遠い所まで引き離された様子である。 さっきのショックも含めて多大なる追ダメージになっているだろう。 取り敢えず、落とされた上不気味な体勢で気を失っているを流石のガイも不憫に思い、なるべく頭に負担が 掛からないよう、注意しつつ助け起こしてやる。 ルークはそれを、どこか人事のように見守りつつ呑気に溜息をついた。 「平気だって、多分。頑丈みたいだしさ。……それより、なあ、ガイ。何かそいつの体、変じゃねえ?」 「……え?」 どういう事だ?と、問われた事に対する疑問を貼り付けた顔をルークに向けた後にの方にも向ける。 腕に支えられて半身を起こした状態のを改めて見るが、概ね人間の特徴しか見当たらない。 容姿は確かに自分たちと比べると特殊だが、特に目を惹く部分もなければ華やかとは言えないかもしれない。 屋敷のメイド達は平均を上回る者ばかりなので、その輪の中しか知らないルークが物珍しく思ったという事だろうか。 けれども、それだって人間の認識を薄める要因にまでなるかと言えば否であり。 「変って?何処が?」 「うーん、やたら重いし、身体とか、何かぶよぶよしてるし」 やたら重い?ぶよぶよ?別段そんな事もないと思う。今まで彼女と触れ合った中での自分の認識では、少なくとも。 ルークの言う事と自分の感覚の違和をしばし考えて、それからやっと、納得に至る。 ああ、なるほど。 人間じゃない裏付けがそこで成されたのだという事を悟って、ガイは苦笑した。 彼にとっては、「初めて」なのだ。何気ない事も。 もう7年も経っているのに、いまだにルークの「知らない事」は、突如として思わぬ所から生まれるのである。 王家の召抱える優秀な家庭教師といえど、彼に知識を全て教えてやれる訳ではないのだろう。 異なる存在の出現により、決まりきった繰り返しのルークの日々は、少しだけ変化を迎えているに違いない。 苦笑のまま息をつくと、ガイは訝しい顔をしたままのルークに向き直った。 「ルーク。確かには、まぁ……その、か弱い方ではないけれど、別に特別重い、なんて事はないんだぞ」 穏やかなガイの言葉に、ルークは片眉を上げる。 「えー、そうかぁ?なら、お前も持ってみろよ。そんな重いのに立って普通に歩けるとか、おかしいだろ」 「そんな言い方、よくないぞ」 言われてルークは何かを言い募ろうとするも、どことなくガイの様子にしぶしぶと口を閉じる。 は、人間だと言った。 事実そうでも、そうじゃなくても、が本当に人間だったとしても、ここでは化け物なのだ。 「召喚獣」という名の、得体の知れない生き物だと思われてる。それはいまだに、自分達とて少なからずそうだ。 けれど、そうなるような形で喚び出してしまったのは、こちらの責任だ。故意じゃないにしても。 だから周りがを異端だとしても、が自らを人間だと言うのならば、出来る限り認めていける立場でいようと思う。 ルークは、そんな事は微塵も思ってなさそうだが。 「変わらないさ、俺達と。……実際、お前なんかよりも重いんだぜ?」 「はぁ?何言ってんの。あーもう、持ったら分かるって…」 「じゃあ、アレはどうだ。ニワイシ」 遮られるように言われて、ルークは面食らう。 言葉として掲示されたのは、この場に全く関係無さそうな、調子の外れた単語でしかなかった。 いや、単語なのかどうかも一瞬理解出来なかったルークは、そんな発音の言葉があったかと思巡しているようである。 「ヴァン様との修行で、やった事あったろ。庭の石を持ち上げて腕の筋肉つけるって」 やはりガイが、何の事はない庭石の話をしているのだと解って、ルークは顔を顰める。どういうつもりか。 けれどそのまま反論せずに大人しく聞こうとしているのは、「ヴァン」という人物名が入っていたから。 ルークは彼を剣の師とし、また人間の師として、この世で唯一敬っている。 だから、彼と剣術の修行を行う上で、最初の方に嫌という程やらされた基礎練習も、この面倒臭がり屋の ルークが投げ出す事はなかった。 屋敷でぬくぬくと過ごしていた彼にとってはなかなかに辛かったヴァンの修行のメニューの中に、赤子の頭程の石を 何回も持ち上げる、というのも入っていた。 流石にキツい記憶も若干あったのか、ルークが少しだけ眉を歪めたのを見とめてガイは続ける。 「あれくらいの石ひとつで、大体2キロちょいかな。で、お前の体重が確か……70キロ届かない、くらいだっけ?」 そう言われ、翠の双眸が驚きと納得とを同時にして、見開かれる。 それを見て取って、つまり、とガイが締めにかかる。 「石30個程と、お前の体は同じ重さってわけだ。筋肉があるせいで解りにくいが、人間ってのは結構重いモンなんだよ。 意識が無い状態なら尚更な」 「えー、何か信じらんねぇ…」 と、呟きつつも、ルーク自身の体重なのだから、解らないというはずもなく。そう言えばそっか…と腕組をして考えている。 残るは、あと一つの疑問点。 「…身体が柔らかい、だっけ?」 「ああ。何か、触ってみたら全然俺達と違うっつーか…ぶよぶよグニャグニャしててキモイ」 取り付く島もなく言い放つルークに、そういう事か、と、ガイは呆れた。 そう言えばそうだった…と、今までの事を振り返り、思う。 世話係のメイドが、殆どルークの身の回りの事をしている為に、母シュザンヌが息子と接触する機会は少ない。 直接スキンシップを取るような機会は殆どなく、近い立場の異性というのも、婚約者であるナタリア王女以外にいない。 悪ふざけとは言え、ルークが異性に抱きついたのも、体を直に感じたのも、もしや初めてだったのだろう。 悲しい事に、その第一印象は「キモい」という結論に至ったらしいが。 「だから言い方考えろっておまえ……女性の身体を触っておいてそりゃないだろ。 あっちは俺達男と違って筋肉よりも脂肪が多いんだよ。だからその分、柔らかいんだ」 自分の考えの二つともが諭される事に微かな反感があるのか、ふーん、とルークは鼻を鳴らしつつも冷めた目を細める。 「そんなモンなのかねぇ」 そう返すルークに、しかしガイは今度は言い募る事が出来ない。 何故なら、自分だって女性の柔らかさなんて解らないからだ。 この女嫌いの体質が祟って、今まで女性に触れる事が出来なかったのだから、いくら予備知識があった所で 説得力のある言葉を与えてやる事が出来ない。 そういえば努力する、と言った矢先なのに、こうしてを助け起こしてしまったり。 に意識があったなら、また悲しそうな眼差しを向けられていたか。 それ以前に、この体勢だったら真っ赤な顔で突き飛ばされていたかもしれない。 予想してガイは曖昧な笑みを浮かべた。どういうわけか上手くいかない。 ちゃんと意識は女性だと解ってるのに、身体は解ってないというか、認めてないのか。 (……しかしながら…) ルークの言葉を確かめるという訳でもないが、支えるの腕の一方、二の腕の一部を、ふに、と出来心で摘まんでみた。 (おお……本当だ…柔らかい…) 女として認識出来なくても、事実触れる初めての"女性"の体に、ガイは声なくして感嘆した。 でさえ、こんなに自分達男とは違う柔らかさを持っているのだ。 これが(困ったものだが)いつも自分に寄ってきてくれるあのメイド達だったとしたら。 サラサラと滑るような髪。白磁のような要所はほんのりと桜色に色付く肌。なめらかで無駄な肉のないボディライン――― 見た目の爽やかさに反していかがわしい妄想を膨らませ、頬をだらしなく緩ませるガイを前に、ルークは思わず後ずさった。 「ガ、ガイ。……何考えてんだよ。お前もキモいんだけど……」 「……お、悪りィ悪りィ」 意識を引き戻され、慌てて口の端に滲んでしまっていたヨダレを手の甲で拭う。 そして、いまだ引き気味のルークに向き直った。 「ま、そーいうこった。女性の扱いは、丁寧に!な!」 しっかりとした口調で言う女嫌いの筈のガイの腕には、女である筈の意識の無いが支えられている。 女を女だと認識出来ない事こそ、最上級の失礼なんではないのか。 目の前の構図を見て白々しい思いがルークの胸の内に生まれるが、それを口に出すのも面倒だったので あっそ、とだけ、返すことにした。 寝巻きでベッドの上に転がり、ペンの端っこを口に当て、ルークは考え込んでいた。 ついた肘ではさんだそこには、今日の欄がまだ空白のままの日記。 威圧感さえ放つ真っ白なスペースを前に、うんうんと唸りながら、てしてしとペンの尻で頬やおでこを叩いてみるが、 いっこうに納得のいく書き出しが思い浮かばない。 解決しないそれが仕舞に煩わしくなってきて、少し休憩、とばかりに仰向けにごろんと転がった。 (………やっぱアレだよな。夕方にあのまんじゅう食ったから……) す、と目を閉じて日記とは関係のない事に思いを馳せる。 今日の夕食の時の事を、ふっと思い出す。 別に、昨日も一昨日もその前からも、夕食の様子は変わらない。毎日同じように繰り返されてきた事だ。 勿論、メニューは違う。いつだって、自分の好み合うように作られたものが、バリエーション豊かにちゃんと用意される。 けれど。 何だかずっと味気なかった、という事に気付いた。 ガイの言った通り、饅頭は夕食に差し支えの無い量だったし、育ち盛りの身体は燃費よくそれを消費し、 腹はそれなりに空いていたはずだ。なのに。ああ、やっぱり解らない。 自分で考えている事なのに、何だそれ、と、顔を顰めてみる。 ……今日の朝食は、とても美味しく感じたのに。 三人で食べたあのシェフが作ったでもないあの饅頭なんか、(取り替えた後だが)とても美味しかった。 けれど、先程一人で食堂で摂った夕食は――――どうだったろう。 勿論、世話係のメイドは傍らにいたが、それだけだ。ただ、そこに居るだけ。話しかけても、父に言いつけられているのか 食事中の会話を行儀上良しとしない旨を申し訳無さそうに伝えてくるだけ。 食卓を共に囲む人間がいるだけで、味が変わるとか、美味しくなるなんて事が、あるのだろうか。 逆なら、ある。 たまに、ほんのごくたまにだけ、貴族のお付き合いだとかで、事情を知る城の重鎮達と父母とで、会食をする事があった。 あの場で食うメシほど、不味いものはない――――と、息の詰まる席を思い出して、眉を顰める。 じゃあ。 閉じていた目を、再び開いた。 ガイが一緒だった夕方の時を除いて、朝食が普段よりも美味しかったのは、夕食が普段よりも味気なかったのは。 首から上だけを動かして、隣のベッドへと、視線を移す。 ガイによって運ばれ、布団に納まっているがいた。 (……コイツのおかげ――――…) そう考えかけて、キッ、と眉間に皺を寄せると、首を横に振って払う。 (…な、ワケねーっつの!ったく、冗談じゃねえ!!) 認めてたまるか!と、とは正反対の方向に、力一杯プイッと顔を背ける。 迷惑なんだ。コイツがいると、好きな事も出来ないし、邪魔だし、可愛くないし、ムカつくし、と、思いつく限り並べ立てる。 は、此処を出て行きたいと思っている。ルークも、出て行って欲しいと思っている。 …それでしかない関係だ。 思考を切り替えるかのように、仰向いていた体を再び回転させて日記に向き直ると、ペンの先を其処へとつき付けた。 元は、再び記憶を失ってしまっても困ることがないように、と母に言われて始めた事だ。 今日はいつものように書くことが無くて頭を悩ませていたのではなく、何から書いていいのか解らなくて呻いていたのだ。 確かにの存在は癇に障るが、でも、何だか色んな事があって退屈しなかった。 まあ、思っていたよりは悪くなかったと思う。 書き終えた日記を閉じると、ベッドから身を起こし、本棚へとそれを仕舞う。 ついでに、ちらりとベッドの中のを見遣って、しかしそこで疑問に眉を顰めた。 (……何でコイツ、顔怖ぇまんまなんだよ…) 気を失ってからずっと今まで。更に言うと、ベッドに寝かされてからこっち、の顔の苦悶の色が濃くなっているような。 加えて時間経過に伴い、汗と微かなうめき声が増えているような。 「……………」 ま、いいや。俺には関係ないし。と、ルークは欠伸をしつつ、自らのベッドに戻った。 まるで、泥の中に沈んでいくような。 体の重心が定まらなくて、は耐え難い苦しさに闇の中で足掻いていた。 自分を覆いつくさんとする、とても恐ろしい"何か"。締め付けられるような、感覚。 凄惨極めるといっても過言ではない感覚から逃れようとしているのに、思うように体は動かずぐにゃぐにゃとした感触に 抵抗の力は奪われるばかりで、身動きがとれず、前にも後ろにも進まない。 とてつもない不快感だ。 汗が貼り付く。 息が上がる。 衣擦れの音が嘲笑するように聞こえる。 悪夢だ。夢なんて、ここ数年見る事は無かったのに。 否、これは夢なのか?気だるさも不快感も身動きできない感覚も、随分リアルなような気がする。 逃れたい。ここから、早く。 早く――――! 強く願ったのが功を奏したのか、目が開いた。やはり夢だったという事に、ほっとした。 「………は…」 見慣れない、けれども知っている天井が、照明用の石(譜石と言うらしい)から漏れる微かな光に浮かび上がっている。 何が、どうなっているのか解らなくて。けれども、 あああもうベッドだからか――――!!と、いう激しい突っ込みは胸の辺りまでで押し留めた。 どうりで寝苦しかった筈である。気を失った自分を、誰か(ガイしか思い浮かばない)がベッドに運んでくれたのだろう。 有難いが、余計な体力の浪費と散々な悪夢のダブルプレゼントに、お礼を言う気も起こらない。 床に放置されていた方が楽だったとも言えるが、かといってそれはそれで心が傷つくので、まあ良しとしようか。 複雑な気分のまま、おぼつかない動作で苦戦しつつベッドの上にやっと身を起こす。 覚えているのは暮れかかった空なのだが、今日こそはしっかりと閉められたカーテンの向こうは既に闇に落ちているようだ。 また変なリズムで一日を終了させてしまったのか、と、隣のベッドで呑気に眠り込んでいるルークを眺めながら思う。 相変わらず、女の自分が悔しい思いをしなければならないまでに愛らしい寝顔が、とてつもなく恨めしい。 誰のせいで。一体誰のせいで今この心がざわめいて仕様が無い状況にいると思っているんだコイツは。 わなわな、と思い出して震える自分の両手の平を、体を見つめる。 (…………だ、…だ、だ、だだだ抱きつかれたんだ…抱きつかれたんだよ…!!) ガイにも、ルークにも。一体どんな要らない奇跡だ。 ぐわぁ、と顔に熱が昇るのと、しかしサーッと頭から血が引いていくのと。 恥と恐怖渦巻くカオスを頭の中に生みながら、は激しく悶えた。 何なんだもう、嫌いなら嫌いで、放っておいてくれればいいのに。(それはそれで、ちょっと寂しい気もするけど) とにかく、暫らく時が過ぎた。 どうにか思考も落ち着いてきて、荒い息を宥めながら時計を窺うと、深夜0時5分。 ちらりとルークを窺い、溜息をつく。今時の17歳にしては健全な時間にご就寝だと言える。 まあ、それはこの際問題とするような事じゃない。 (うう…どう、しよう…体が気持ち悪い…) 具合が、という訳じゃない。 一杯色んな種類豊富な汗をかいたし、土も触った。多量の鬱憤も溜まっているし、その他あらゆるものが付着したままの体で さすがに二日目ともなると、いい加減それらを洗い流してサッパリとしたい。 といっても、風呂なんて贅沢なものを使った記憶は乏しい。 ルーク達が使うものとはきっと別であろう、使用人達が使う浴場でさえ、使わせて貰えるとは到底思えなくて。 それに昼間の一件もあって、メイド達とは気まずくて顔を合わせるのも気が引ける。例えその場に居なかったメイドでさえも 油断はならない。何故なら女の情報網程、侮れないものはないのだから。そうでなくとも恐がられているのに。 まあ第一、時計を見る限り、入浴時間などとうの昔に終わっているだろうが。 しかし。 ま、いいや。と、ベッドから抜け出して、いそいそと入浴のための準備を始める。 何故なら、自分にとっては風呂場が使えない事などは、大した問題ではなかったからである。 水が一箇所しか出ず、風呂のないアパートだったので、銭湯を使う事もあったが、極力金は使いたくない。 そういう訳で、水道の水で髪を洗ったり、体をふいたり、で済ませるのが日常の入浴風景となっていた。 冬場は修行かというくらいに辛かったけれど、慣れればどうとでもなる。 ここでもそれを実現させるには、要は水が出て、かつ誰も来ないだろう場所さえ確保出来れば充分なのだ。 幸運な事に、今日のうちに其処を見つけるに至る事が出来ていた。 上着とズボンとシャツ――――体を拭くものはどうしよう、持っていた荷物の中のハンカチで済ませるしかないか。 さあ、とにかく完成だ。 はやる気持ちを抑えて開けた部屋の扉をそろりとすり抜ける。 向かう先は、今朝ペールと出会った、あの裏庭である。こんな時間だから、もちろんあんな場所に人影はないはず。 庭用と思しいので飲めないだろうが、あそこには確か水道があった。 屋敷は広くてややこしいが、裏庭の位置だけは覚えている。 一刻も早くこの体の垢を落としたいという思いを胸に、は一人、廊下を急いだ。 |
夢主差し置いてルークが成長してるよオイ。
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